操作の簡便性と高い信頼性を両立した
バイオ医薬品向け SmartMS “BioAccord システム”

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バイオ医薬品開発のさまざまなステージにおいて、LC-MS の重要性が増しています。ウォーターズでは、直感的に操作でき、複雑な作業を自動化した SmartMS “BioAccord システム”を開発しました。最低限のトレーニングで LC-MS を簡単に使えるようになります。

今回は、アプリケーション例として、モノクローナル抗体のマルチ特性メソッド(MAM)、そして新たに対応したオリゴ核酸とアデノ随伴ウイルス(AAV)の解析を紹介します。

※本記事は要約版となります。最新情報の詳細をご覧になりたい方は、是非オンデマンド版のご視聴&資料のダウンロードをお願いします。

この記事を読んでいただきたい方

  • ・バイオ医薬品開発に向けて初期スクリーニングをご担当されている方
  • ・バイオ医薬品開発の後期ステージでルーチン分析をご担当されている方
  • ・バイオ医薬品開発において MAM の導入を検討されている方

1. バイオ医薬品開発において増している LC-MS の重要性

LC-MS は重要だが専門家が少ない

バイオ医薬品開発のさまざまなステージにおいて質量分析(MS)が使われる機会は多く、MS 関連データやその重要性は増しています。例えば、FDA の2017年の報告によると、バイオ医薬品の最新の電子申請書80のうち、79においてタンパク質や不純物解析のために MS が使用されています。

その背景の一つに、医薬品モダリティーが低分子から中高分子にシフトしていることが挙げられます。重要品質特性(CQA)に応じた試験項目はより複雑になり、試験数は増加傾向にあります。

しかし、LC-MS の専門家の数は決して多くありません。人材育成や人件費、設備コストなどの課題もあります。LC-MS の導入に、あと一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

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顧客からのリクエスト Top 5

そこでウォーターズでは、顧客が具体的にどのような LC-MS を求めているのか、市場調査を行いました。その結果、堅牢性、再現性、高性能といったルーチン分析で必須の要求事項だけでなく、操作の簡便性や設備サイズへのリクエストも多くありました。

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データ取得、解析、レポート作成までを自動で実行する BioAccord システム

このような要求を満たす LC-MS システムとして BioAccord システムは開発されました。バイオ医薬品開発のルーチン分析におけるタンパク質、ペプチド、オリゴ核酸、遊離糖鎖のモニタリングを目的にデザインされました。データ取得、解析、レポート作成までを自動で実行するワークフロー形式で操作できます。GxP 規制要件も満たします。

BioAccord システムは、主に以下の3つのコンポーネントから構成されます。

LC として ACQUITY Premier または ACQUITY UPLC I-Class PLUS 光学検出器

UVあるいは蛍光検出器のいずれか、または両方を選択できます。AQCUITY UPLC I-Class PLUS は業界トップクラスの分離能を備えております。最新の ACQUITY Premier システムは Max Peak High Performance(HPS)テクノロジーを採用しており、金属との相互作用による非特異吸着が効果的に低減できます。

直交加速飛行時間型 MS として ACQUITY RDa 検出器

フルスキャンモードとフラグメンテーションモードの両方を同時に実行でき、配列解析や修飾位置の確認に利用できます。横幅は40センチ程度で、研究室のスペースを有効に利用できます。100V電源で使用できるため、電気代を年間数十万円節約できる試算もあり、投資の観点でも評価をいただいています。

ソフトウェアとして waters_connect

これまでシステムごとのソフトウェアをインストールしておりましたが、waters_connect によるソフトウェアの一括管理をすることができるようになりました。これによりシームレスなワークフローを実現します。waters_connect は Oracle ベースのリレーショナルデータベースで、GLPと、CFR 11コンプライアンスやデータインテグリティの要求を満たしております。

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2. SmartMS - より高速で、シンプルで、信頼性の高い分析機器に

自動キャリブレーション、トラブル時の自動診断

BioAccord システムは「SmartMS」に対応します。ウォーターズでは SmartMS のことを、スマートフォンのように直感的に操作でき、複雑な作業を自動化した MS と定義しています。最小限のトレーニングでシステムを操作できます。

具体的には、キャリブレーション範囲を選択し、スタートボタンを押すだけで、自動的にキャリブレーションが開始します。データ測定終了と同時に、あらかじめ指定したデータ解析メソッドにしたがって解析が実行され、レポートを出力してメールで通知するまですべて自動で行われます。このようにして業務の効率化が図れます。

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また、自動診断機能も特長の一つです。システム稼働中に何らかのトラブル、例えば液漏れが発生した場合、システムがトラブルを認知し、アイコンで表示したり、解決策をモニターで表示したりできます。これにより、軽微なトラブルはユーザー自身で解決でき、ダウンタイムや修理費用の削減につながります。

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MAM の高い再現性

データの再現性を検討した例を紹介します。

まず、モノクローナル抗体として NIST mAb を使用し、マルチ特性メソッド(MAM)を行いました。抗体薬物複合体(ADC)のような抗体医薬品に代表されるタンパク質性医薬品は分子サイズが大きく複雑な構造を有するため、CQA が多数あります。そこで、可能な限り1回の試験で CQA をモニターする MAM の活用が注目されています。その際には、データの再現性が重要視されます。

数百回に及ぶ連続分析を行い、5つの主要なグリコフォーム(糖鎖部分のみが異なる糖タンパク質のサブユニット)の検出強度と再現性を評価しました。その結果、相対標準偏差(RSD)は4%以下と、優れた再現性を有していることがわかりました。複数のシステム間における再現性を評価するため、6つの異なる BioAccord システムで79回の注入を行ってグリコフォームを検出したところ、RSD は6%未満でした。

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次に、ペプチドの MS の場合について検討しました。25回の繰り返し注入で、さまざまな溶出時間を有する8種類のペプチドを選び、保持時間の再現性を評価したところ、BioAccord システムでは RSD が1%未満という、一貫した保持時間プロファイルを提供できることがわかりました。

相対 MS 検出レスポンスと、システム間の比較も検討しました。8種類のペプチドについて3つの BioAccord システムで18回の注入を行なった結果、存在率の高いペプチドでは RSD は1%前後、存在率の低いペプチドでもおよそ5%という高い再現性を示しました。

BioAccord システムは、インタクト MS でもペプチド MS でも、MAM に対して十分な性能と再現性を有していることがわかります。

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3. 2021年のアップデート - オリゴ核酸 / AAV の分析事例

オリゴ核酸のインタクト MS と配列確認

最近アップデートされた機能についてもご紹介します。その一つは、オリゴ核酸の分析です。特に日本国内において核酸医薬品の開発が活発であることを受け、2021年より対応しました。

オリゴ核酸のインタクト MS データの解析では、デコンボリューションの際にオリゴヌクレオチドかホスホロチオエートオリゴヌクレオチドかを選択でき、より正確なデコンボリューション質量計算が可能です。

次に、配列確認の例をご紹介します。チミジンラダー配列のインソースフラグメントスペクトルをデコンボリューションし、スペクトルツールによって配列確認を行います。検出されたフラグメントイオンと、配列から予想されるイオンの質量をマッチングさせ、色分けして表示します。これにより、配列のカバレッジを評価できます。

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AAV 特有の問題と解決した結果

もう一つのアップデートは、アデノ随伴ウイルス(AAV)のカプシドタンパク質の LC-MS 分析です。AAV は細胞への遺伝子導入の際のベクターとして使われています。AAV のカプシドは VP1、VP2、VP3 という3種類のタンパク質から構成されます。これらの比率、同一性、純度は、医薬品としての有効性や薬効に影響を与えるため、品質を維持するためにモニターする必要があります。

ただし、AAV カプシド特有の問題が存在します。濃度はモノクローナル抗体の10分の1から50分の1と低く、溶解液中の界面活性剤が LC 分離と MS 検出に影響を及ぼす可能性があります。また、知見が少なく、分析法を新たに確立する必要があります。

ウォーターズでは、これらの問題に取り組みました。移動相にギ酸ではなくジフルオロ酢酸(DFA)をイオンペアリング剤として使用することで、分離能とピーク形状を改善できることがわかりました。添加剤には IonHance を使用しました。

最終的に、分離の難しい VP1 と VP2 が50%谷付近まで分離できました。リン酸化修飾を受けた分子種も明確に確認できました。UV 検出を同時に行うことで、ピーク面積値からカプシドタンパク質の正確な比率を決定できました。ルーチンなモニタリングに適応できるでしょう。

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よくあるご質問

Q.

バイオ医薬品の開発において質量分析計が必要なことはわかっているのですが、使ったことがないので操作や日常メンテナンスに不安があります。

A.

BioAccord はこれまでの質量分析計の煩雑さや複雑さを解消してほしいという現場のお客様の声を反映して開発されました。ユーザーフレンドリーをコンセプトに SmartMS を搭載しておりますので、誰でも簡単に操作ができます。

Q.

コンパクトで操作が簡単ということですが、質量分析計の性能はどの程度なのでしょうか。

A.

BioAccord はユーザーフレンドリーな高性能 MS(HRMS)ですので、精密質量および構造情報の取得が可能です。インタクトマス、MAM、遊離糖鎖、オリゴ核酸、遺伝子医薬などのバイオ医薬品開発に関わるルーチン分析を幅広く実施することができます。